平成27年4月1日から「宅地建物取引主任者」から「宅地建物取引士」へと名称が変わりました。
〇〇士というと弁護士や、税理士を連想します。
流石にこの2つと方を並べたと言うと怒られそうですが、それはさておき、気になるのが今後宅建士の資格試験が難化するかどうかです。
事実、名称変更に伴い多方面から難易度が上がるのでは?と言われていました。
そして、27年、28年、29年、30年と名称変更後、これまで4度の試験が実施されました。
過去の宅建合格率と合格点
過去20年の合格点及び合格率の推移は下記表のとおりです。
グラフ化すると。。。
こんな感じになります。
平成27年以降合格率が低い位置で横ばいになっているのが気になりますね。。
その一方で、合格最低点は平成27年以降グイグイ上がって平成30年には37点にまでなってしまいました。実に74%の正解率でないと合格できない資格になりました。
宅建士への名称変更後の傾向
グラフから誰が見ても分かることは。。
- 合格率が15%台で横ばい
- 合格点が上がり続けている
この2点を見るとやはり難化しているのかなと思ってしまいます。受験する身としては嬉しくありません。意図的に難しくしているのでは?と勘ぐってしまいます。
しかし、この2つは一緒にして考える必要があります。
合格率が15%で一定になっているにもかかわらず、合格点だけが上がっている。
合格率が15%で一定になっているにもかかわらず、合格点だけが上がっている。
(大事なことなので2回言いました)
この理由として考えられるのは、問題が簡単になり平均点が上がっている&実際の合格点の1点下を合格点とすると、あまりにも想定を超えた数の合格者を出してしまう。です。
問題が易化した
資格スクールの講師も平成30年の本試験は軒並み易化していると講評しています。
私が合格した平成28年本試験では35点と前年より4点も合格点が上がりましたが、問題は簡単なものが多い印象でした。
合格点を1点下げると必要以上合格させてしまう
宅建試験の点数はすべて整数でしかでません。受験生の多い私立大学だと科目ごとに傾斜配点をつけ0.01点単位で点数が付きます。
宅建試験自体50点満点で傾斜配点も付けられないので、平成30年の本試験で言えば36点を合格点とすると18%以上の合格率になっていたのかもしれません。
本試験の得点分布は出ていないので分かりませんが、資格スクール生の得点分布は↓の参考リンクのような感じです。(答え合わせまでする意識高いスクール生なので得点平均が高くなっています。)
ちなみに15%台の合格率は低いように見えますが、過去をさかのぼってみると平成11年~平成13年も3年連続で15%台でした。宅建士への名称変更以前の16年間でも7回も15%台の年がありました。15%の合格率が特段低いとは言えません。
試験問題作成者の意図
合格点が高く推移している原因はなんでしょうか?
合格点を落とさせるのはとても簡単です。難しい問題を作ればいいだけなので。
でもここ3年も35点以上が合格点になってしまっているのは、やはり意図的なものがあると思います。
それはその理由は宅建士へ名称変更の元でもある改正宅建法の中に見えます。
■宅地建物取引主任者から宅地建物取引士に名称変更(2条4号関係)
■宅地建物取引士の業務処理の原則(15条関係)
■宅地建物取引士の信用失墜行為の禁止(15条の2関係)
■宅地建物取引士の知識及び能力の維持向上(15条の3関係)
■宅地建物取引業者による従業員の教育(31条の2関係)
■免許及び取引士登録に係る欠格事由及び取消・消除事由の追加(5条1項及び66条1項関係、18条1項及び68条の2第1項関係)
たくさんありますが、試験に関係ありそうなところを簡単に要約すると、「宅建士は宅地建物の安全な取引に責任を持ち宅建士として信用を失墜させないような振る舞いをしないといけない。」ということです。
試験問題作成者からすると「基本的なことをマジでちゃんとやってくれよ!」ということです。
これからの本試験対策方法
先にも資格スクール講師が本試験問題は易化していると書きましたが、これからの宅建試験は「いかに他の受験生が確実に正解する問題を落とさないか」が非常に重要になります。言い換えると、うろ覚えな暗記ではなく基本的な内容をしっかり押さえる。ということです
凡ミスや取りこぼしをどれだけ減らすかが合否のカギになると思います。
基本的な内容をしっかりと固める上でおすすめなのがフォーサイトです。フォーサイトの教材はフルカラーでなんと言ってもページ数が少ないのが特徴です。ページ数が少ないので「本当に必要な骨の部分」からしっかりと学ぶことが出来ます。まずはこの教材で土台をしっかりと固めその上で余裕があれば他の教材を取り入れるのもよいでしょう。
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ちなみに。。。
仮説として受験生のレベルが上ったということはありえるでしょうか?士業に名前が変わり、それまで受験してこなかった弁護士、司法書士、行政書士志望の受験生がついでに受ける。受験生が右肩上がりで増えているのでその可能性も0ではありませんが、25万人超が受験する試験において、ブランド化のみで受験生のレベルが急に上がることの影響は限定的と言えるでしょう。
まとめ
宅建士への名称変更にともない、宅建士としての信用を毀損しないようにと絶対に身につけていてほしい問題を作成していると言うのが私の考察です。宅建本試験ではみんなが正解する問題をどれだけウッカリミスやうろ覚えで落とさないかが重要です。
そのためには基本的な内容をしっかりと押さえましょう!
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